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乳がんの検査に使われる乳腺エコーとは?仕組みや検査方法を解説

2025年2月15日

乳がんの検査にはさまざまな機器を使用しますが、乳がんかどうかを確定するうえで有効な検査機器の1つが乳腺エコーです。
本記事では、乳がんがどのような病気なのか、乳腺エコーがどのような機器であり、がんを含めた病気が見つかるのかどうかを詳しく解説します。

乳がんとは

乳がんとは、乳腺にできる悪性腫瘍のことです。40~60歳に発症年齢が最も多いがんですが、若い方でも発症するリスクがあり、20代では約1%、30代では約15%の方が発症すると言われています。

好発部位

乳がんの好発部位は乳管です。乳管とは母乳を運ぶ細い管のことで、乳がんの90%程度が乳管で発生します。次に多いのが母乳を作る小葉で、乳がんの5%程度がここで発生します。
他にも、特殊なタイプの乳がんがいくつかありますが罹患者は多くありません。

症状

乳がんの症状は次の通りです。
 しこり
 皮膚の変化(色やくぼみなど)
 乳首からの分泌

乳がんは初期の場合、症状が乏しいとされていますが進行することでさまざまな症状が現れます。
一般的に乳がんは痛みが起こりにくいとされていますが、胸の痛みで乳がんが発見されたケースもあります。

乳がん検診とは

乳がんは9人に1人が発症している病気といわれています。
がんと聞くと直ちに死亡と考える方もいらっしゃるのではないかと思いますが、乳がんの場合早期発見、早期治療により生存率を高めることができます。

実際にステージ1と呼ばれる転移のないタイミングで乳がんを発見できれば、5年生存率は98%以上、10年生存率も90%以上と高くなるため、早期発見することが重要です。

乳がんを早期発見するために行われているのが乳がん検診です。乳がん検診とは乳がんによる死亡率を減少させる目的で行われます。乳がん検診は2年に1回行うことが推奨され、自治体によっては費用負担なく行えるようにクーポンが発行されることもあります。

乳がん検診で行う検査は主に次の2つです。。

問診

まずは問診を行い、乳がんになるリスクがあるかどうかの判断をします。問診で聞かれる内容は次の通りです。
 月経周期
 初潮・閉経時期
 妊娠・出産歴
 がんの家族歴
 気になる症状の有無など

問診と、後述するマンモグラフィーの結果を勘案して、がんの可能性の有無を検討します。

マンモグラフィー

マンモグラフィーとは、乳房専用のX線撮影装置を使って行う検査です。乳房全体をプラスチック製の板で挟み薄く伸ばしてから、レントゲン撮影を行います。

乳房を薄くすればするほど、綺麗な画像が撮れるため、強い力で挟むことが必要となります。乳房は軟らかいものの、人によっては強い力で挟み込むことで激しい痛みを伴います。
白い影が映った場合には乳がんを疑いますが、健康な場合でも白い影が映ることがあるため、上述した問診も併せつつさらに精査をします。

乳がん検査の1つである乳腺エコーとは?

問診とマンモグラフィーは国の指針によって定められた検査で、国が推奨しているのものとなります。
しかし、人によっては家系に乳がん患者がいる、乳がんのリスクファクターに該当したなどの理由で問診やマンモグラフィーよりもさらに詳しく検査したいと考える方もいます。

そんな方におすすめなのが乳腺エコー検査です。ここからは、乳腺エコー検査について詳しく解説します。

乳腺エコー検査とは

乳腺エコー検査とは、超音波を乳房にあてて、反射する信号で乳房の内部を調べる検査です。
乳房にジェルを塗り、ブローブを当てて検査を行います。
乳房内部の腫瘤の有無、大きさ、性状といった細かいことがわかるため、乳がんのリスクがある方においては行うべき検査とされています。

乳腺エコーでわかる病気

乳腺エコーでは、乳がん以外にもさまざまな病気が分かります。乳腺エコーでわかる病気は次の通りです。
 乳腺嚢胞
 嚢胞腫
 乳腺線維腺腫
 石灰化
 腫瘤
 乳管拡張症
 乳腺症
これらのいくつかはマンモグラフィーのみでは発見できません。がんだけでなく、乳房内の病変を全て調べたいという方は、乳腺エコーを受けることが望ましいです。

乳腺エコーとマンモグラフィーの違い

とはいえ、乳腺エコーとマンモグラフィーを一緒に受けなくても良いのではと思う方もいるかもしれません。しかし、乳腺エコーとマンモグラフィーにはさまざまな違いがあります。

被爆の有無

マンモグラフィーはX線を使って撮影をするため、微量ではありますが放射線を浴びてしまいます。そのため、妊娠中や授乳中の方は検査ができません。

しかし、乳腺エコーは放射線を浴びないため、妊娠中や授乳中の方でも検査が可能です。

発達した乳腺の撮影

マンモグラフィーは若い世代の発達した乳腺は白く映ってしまい詳細の情報を得られません。しかし、乳腺エコーでは、発達した乳腺でも詳細の画像を得ることができ、触診では判断できない小さなしこりの発見も可能です。

検査時の痛み

乳腺エコーはジェルを塗った上からブロープを滑らせるのみのため、痛みを感じません。しかし、マンモグラフィーは人によって乳房を挟んだときに強い痛みを感じてしまいます。

石灰化の撮影

さまざまな点で優位性がある乳腺エコーですが、石灰化があった場合には撮影してもうつりません。石灰化は基本的に良性ですが、まれにがんと関連しているケースがあり、注視しておきたい病変です。
石灰化においては、マンモグラフィーの方が詳細な画像を得ることができます。

乳腺エコーをご検討の方はご相談を

乳がんは女性に多いがんで、一般的には40歳以降に多いものの、20~30代でも発症リスクが十分にあります。
早期発見、早期治療ができれば生存率を高められるため、乳がん検診を受けて早期発見をすることが大切です。国の指針では乳腺エコーは標準ではないことから、自身で乳腺エコー検査を受けに行く必要があります。
また、乳腺エコー検査はその性質から主に40歳未満の若い世代に推奨されているため、若い世代で乳がんリスクのある方は積極的に受けることが望ましいです。

当院では乳腺エコー検査を適宜実施しています。乳腺エコー検査をご希望の方はお気軽にご相談ください。